ソウタとコダマ

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少年は深呼吸する。 自分一人で行きつかなければならない。ここから先はコダマはいない。 心細さを振り払ってソウタは森から飛び出した。黒煙を上げて燃える装甲車の横を走り抜け、熱風にあおられながらも、懸命に草原を駆けていく。国境まではあと少しだ。 「頑張レ。ソウタノ、母ノ、イル、隣ノ国ヘ、辿リ着ケ」 だが不意に、空から降ってくる隕石のように、コダマは地面へ大音響を立てて墜落したのだった。本体を起動させるためのエネルギーが尽きたのだ。それでも、動けなくなったコダマのカメラアイはソウタを追い続ける。少年は暗い森を抜け、陽が差し込む草原を走っていく。鉄条網を抜ければ、もう追われることはない。 「なんだ?こいつ、いきなり落ちたぞ」 動かなくなったコダマの背後から、あの兵士が近づく。 「おいおい、ただのエネルギー切れか。レーザー砲なんか使っちまったら、あっという間だな」 (あざけ)った。 「みっともないよな。使い捨て型の兵器ロボットかよ。こりゃ、開発中止になりそうだ。コスパが悪すぎるだろ」 容赦(ようしゃ)なく、こきおろす。 「スクラップでも持って帰るか。最新型みたいだしな」
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