ソウタとコダマ

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それは一年前のことだった。 「いいかい、ソウタ。お前は、このロボットと、ここでお留守番をするんだよ」 父親に告げられて、少年は足元のロボットを見た。半円球の金属製の小型ロボットがいる。 「これは、お父さんがお前のために作ったロボットだ。名前は、『コダマ』」 「コダマ?」 「そう。自分で動く自律ロボットだ。たくさん話しかけて、質問されたら答えてあげなさい。お前のことをよく知って、お前を助けてくれる」 「うん」 少年は、つい最近まで父親と首都に住んでいた。ロボットは、居住していた施設にも、ホテルにも、デパートにもいた。珍しいものではない。だが、コダマのようなタイプの自律ロボットは初めてだった。 「ソウタ。ここはおばあちゃんの家だ。覚えているかい?」 「うん、覚えてる」 誰かに連れられて、よく遊びに来たことは覚えている。 「だから、ソウタはここで暮らしなさい。おばあちゃんは天国にいるけど、代わりにコダマが、ここでお前の面倒を見てくれる」 「お父さんは?」 「国のための、大事な研究をしているから、ここには住むことはできない。分ってくれるね?」 少年は、無言(むごん)(うなず)いた。
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