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「お前は、コダマと仲良くしなさい。そうすれば、毎日楽しく過ごせる。そう、本当のお母さんと暮らすみたいに」
「お母さん?」
少年は困惑する。
「お母さんと暮らすみたいに? コダマが、ぼくのお母さんになるの?」
世の中にはお母さんというものがいるらしいが、ソウタは自分のお母さんに会ったことはなかった。
「コダマ、ガ、オ母サンニナルノ?」
足元でロボットが繰り返した。驚いた少年はコダマを見た。
「ああ、こうやって、言葉の癖を覚えていくんだよ。会話の質をよくしていくためだ」
「ふうん」
「そう。コダマは何でもできるよ。料理も掃除も買い物も。勉強も見てくれる。ソウタも、コダマを手伝ってあげるといいね」
「うん」
父親は首都で、軍事ロボット研究に専念していたため、この家には、ごく幼い頃、よく遊びに来た記憶があった。優しかったおばあちゃんのいた家。
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