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訳も分からずソウタは、コダマと大急ぎで二階へ上がる。二階の窓からのぞくと、確かに屈強な男たちが二人いた。
「コダマ、あのおじさんたちは誰なの?」
二階の寝室のベッドのそばでソウタは身体を震わせる。
「奴ラハ、国軍ノ兵士。君ノ、オ父サンガ研究所カラ、逃ゲタカラ」
「逃げた?」
ソウタには理解できない。
「ソウタノ、オ父サンガ、ドコニイルカ、コダマモ、知ラナイ」
「お父さんは研究所にいるんじゃないの?」
ソウタの父親は有名な軍事科学研究者だ。だから偉い人の許可がない限り、首都から出られなかった。ソウタが父親と住んでいたのも研究所内の施設だった。
「モウイナイ。ソウタハ、危ナクテ連レテイケナイ。ダカラ、ココニ隠シタ。最初カラ、コダマハ、ソウタヲ、守ルヨウ、プログラミング、サレテイル」
お父さんは首都の軍事研究所から逃げたんだ。だからぼくに、ここに隠れて暮らすように言いつけたんだ。
兵士たちは家に入ってきた。階下からは二人の男の低い声が聞こえ、階段を上がってくる足音が近づく。コダマが閉じられたドアが開かないように、鍵をかけ、金属ボディを押し付けた。だがドアは乱暴に蹴破られ、その小さなボディは弾き飛ばされる。
「ガキがいたぞ!」
一人の兵士が階下に向かって叫ぶ。
「こいつか!あの裏切ったロボット研究者の博士の息子ってのは」
少年の腕を掴もうと手を伸ばした。
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