37人が本棚に入れています
本棚に追加
「わかった」
言いたいことはまだあるが、黙って飲みこむしかなかった。
「満紀ちゃんならそう言ってくれると思ってた」
「佳代ちゃんは向こうの学校で大丈夫なの? あっちの塾のレベルとか」
芳江は佳代を母校の東鏡大に入れることが第一義だ、当然その辺りも懸念していることだろう。
「それはまだ考えてるところ。でも、いざとなれば佳代ちゃんを全寮制の学校に入れるとか、考えれば方法はあるでしょ?」
「そうだね、こんなふうになっちゃったけど……少しでも佳代ちゃんにとっていい方向が見つかるといいね」
「満紀ちゃんが分かってくれて良かったわ」
芳江の顔にホッとしたような表情が浮かんでいるのを見て、何もかもが遅かったと悟った。
朔也にリベンジを頼んだことで、満紀自身に対するいじめだけでなく忍や佳代に対するいじめもいずれは止んで、全てがいい方向へ向かう日が来ると願っていたが、その日を待たずに佳代たちは動き始めてしまいそうだ。
こんなことなら、朔也が言う通り最初から元凶である緑子まで完膚なまでに叩きのめしておけば良かったのだ。罪悪感やら妙な仏心を出したばかりに、事態がドンドン悪いほうに転がって行ってしまっている。
それでも、ここで緑子達を抑え込めば、祖母の家に避難した佳代たちにまでは悪の手が伸びずに済むかもしれないのだ。せめてそれだけでもしなくてはいけない、これは満紀の責務だ。
最初のコメントを投稿しよう!