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「ホント? 助かる、他の部員に確認せずに勝手に決めた私が悪かったの、ごめんなさいね。他の部員が説得出来たらまた……」
自分で言いだしておいて罪悪感にかられたのか、言葉に詰まっているのを見て
「感想文が苦手なのに入部しようとした私の方が悪かったんです。……なんか迷惑かけちゃってすいません」と、とりあえず謝っておいた。
「もし感想文書いても良いって気になったら、また声をかけてね、じゃあ」
フォローのつもりかそう言って帰っていく奥澤部長は明らかにホッとした顔をしていた。
「わかりました」と返したが、勿論もう二度と関わる気はない。今度は読書部のみんなに迷惑をかけるところだったのだ、事前に防げて良かったと思った。
後ろから視線を感じて振り向くと、緑子が興味深げにこちらを見ていた。奥澤部長が満紀を遠ざけたのは当然緑子の差し金だろう、首尾を確認して楽しんでいるに違いない。
朔也のアドバイスで視野を広げようとしていたのに、また閉ざされてしまうのは残念なことだが、緑子が女王様気取りで居られるもの時間の問題なのだ、そう思えばなんてことはない。リベンジが終わりさえすれば、部活選びなどいくらでもやり直せるのだから。
こんなことくらい気にしないと思いながら、朔也に言われた通り頭を上げ姿勢を正して席へと戻った。
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