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「お父様のことなんて緑子さんには関係ないに決まってます。緑子さんは今でも完璧ですよ」
以前は確かにそう思っていたので、その言葉は自然に口から出た。
「当然よ」
満紀の口から希望通りの言葉が出て来て満足げな緑子の様子を観察しながら、満紀は全く別のことを考えていた。
次の一段はどんな手で行くのだろう?
頭の中にはだるま落としの動画が流れている真っ最中だ。
一段目がイメージダウンには大きく貢献したのは確かだ。朔也は次にどんな手を考えているだろう?
もうすぐ次の一段も落とされるとも知らないで、女王様気取りを続けている緑子が滑稽でならない。緑子が次はどんなダメージを食らうのか考えたら、心躍る思いだ。満紀はこの時初めて、復讐する喜びを知った。
イジメられトイレの床に這いつくばって泣いていた満紀が、こんな気持ちを知ることが出来たのは全て朔也のお陰だ。昼休み、会う約束をする為に朔也にメッセージを送った。直接会ってお礼を言いたいと思ったからだ。
―*―-―*―
「満紀のそんな顔を見るのは初めてだな」
満足げな朔也の言葉に
「そう? どんな顔してる?」と無意識に頬のあたりに手をやった。
「晴れやかな顔をしているよ。今まではずっと難しそうな顔をしてたからな」
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