〇だるま落とし

9/34
前へ
/247ページ
次へ
「それってまるでお母さんと佳代ちゃんみたい。まだお母さんはお祖父ちゃんを見返そうとしてるのかな?」 「確かにな。勢津叔母さんが家出したというのも、そういう家庭の事情があったからじゃないだろうか」 「私にはそんな事情は一切言ってくれなくて、ただ叔母さんは不出来な子で折り合いが悪くて、喧嘩した勢いで家出してそれっきり、って聞いてたのに」 「流石に、腹違いだからイジメて叩きだしたとは言えなかったんだろ?」 「そうだね、そんな話を聞いたら佳代ちゃんが心を痛めるかもしれないしね」 「満紀のお母さんはその後、結婚して子供を産んだけど、その子は毛嫌いしてイジメた挙句、家出にまで追い込んだ異母姉そっくりだった。それが満紀だ」 「そっか……そういうことね。それでお祖母ちゃんもお母さんも勢津叔母さんが嫌いで、嫌いな勢津叔母さんにそっくりだった私が疎まれたんだ。元はお祖父ちゃんの浮気が原因ってこと……」 自分がどうにもできないところに、真の原因があったことを知って、ひどく悲しい気分になった。 「自分の子なんだから、なぜ愛せないのかって思うが……」
/247ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加