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「偉いな。満紀」と頭を撫でながら「知ってるか? 満紀は結構可愛いんだぞ」と朔也は満紀の瞳を覗き込みながら言葉を続けた。
「ホント?」
誰にどんな風に思われていても構わないが、朔也にだけは良く見られたかった。その朔也の口から可愛いなんて言葉がでるなんて、嬉しすぎてドキドキが止らなかった。
「本当だ。だから卑屈になるな、自信を持て。満紀はダメな子なんかじゃないんだから」
そうい言いながらふわりと満紀の体に手を回し、抱き寄せた。
「朔也君……」
朔也のぬくもりを感じながら、このままずっとこうしていたいと満紀は思った。この感情に名前を付けるならやはり恋なのだろうか? それとも恩人である朔也に対する執着のようなものなのだろうか? そのどちらにしても、朔也にとって昔手放した飼い猫の代わり以上の特別な存在になりたいという願いを持ち始めていた。
「満紀……」
朔也の顔が近づいて来てキスの予感に瞼を閉じたが、しばらくの後「……いや、ダメだ」と自分に言い聞かせるように言うと、朔也がスッと離れて行くのを感じた。
「朔也君?」
「……ゴメン。つい満紀が可愛すぎて。満紀を助けたのはそんなつもりじゃなかったんだ」
「別にいいよ、っていうか、嬉しい。朔也君に認めて貰えて、必要だと思ってもらえるなら私、なんでもしたい」
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