〇だるま落とし

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緑子の母が経営する食品加工会社が高級食材を偽装していた、という内容を聞いた時は、驚きのあまり吹き出しそうになって、父から訝し気な視線を投げかけれられてしまった。 大急ぎで食べ終えると自室に戻り、リベンジポイントを立ち上げて、朔也に連絡を取ることにした。 <ニュースで見たけど、緑子さんのお母さんの会社の話、って朔也君が仕掛けたの?> <仕掛けたってほどのことはないさ。父親の淫行の時の同じで、食品偽装自体は前々からあったんだ。ただそれが表沙汰になるように仕向けただけだよ> <やっぱり朔也君が動いてくれたんだね> <母親の会社が傾けば、父親が経営する親会社の方も痛い目にあうだろうな> <両親ともに問題ありとなったら、さすがの緑子さんも(こた)えるに決まってる> <満紀をあんなにも痛めつけたんだから相応の報いだ、緑子が落ちぶれて行くのを見届けてやれよ> 登校しなければいけない時間になったので、アプリを閉じると支度を始めた。 通学中の電車の中で緑子の母親の会社のことを検索したが、表立ってはニュースで見た以上の情報はない。一応Xチャンネルをチェックしてみると出るわ、出るわ、暴露話が怒涛のように流れていた。食品偽装疑惑だけでなく、父親が経営する料亭の食べ残し食材使い回し、母親が会社の金を横領してホストクラブにつぎ込んでいるなんてとんでもないネタまで飛び交っている。
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