〇だるま落とし

15/34
前へ
/247ページ
次へ
どこまで事実か分からないが、世の中には風評被害というものもある。悪い噂が立ち始めればもう止めることはできない。真偽が定かでなくても、話は尾ひれをつけて大きくなっていくもの。客足が遠のき、売り上げが激減して信用が失墜するのも時間の問題だと思われた。 教室に着き、これだけの騒ぎになればさすがの緑子も欠席するだろうと思いながら、緑子の席を確認すると案の(あんのじょう)お休みの様子。 安奈をはじめとする取り巻き連中もなんだか肩身が狭そうなのは、美嘉の時と同じパターンだ。グループのトップである緑子のイメージダウンは、グループ全体の失速を意味する。緑子が復権しない限り、メンバーも以前のように偉そうな態度を取ることはないに違いない。 朔也に手を引かれてカラオケボックスを脱出して以降、いつかは報復されるのではないかと恐れていたが、この様子なら心配なさそうだ。 唯一無二のマドンナとして君臨してきた緑子も父、そして母のスキャンダルが立て続けに起きれば、親と私は無関係という態度は難しいだろう。例え本人が無関係だと主張したところで、周りが認めないのは確実だ。
/247ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加