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「朔也君、久しぶり! 大丈夫だった?」
放課後、久々に会った朔也は頬のあたりがシュッとして、一回り顔が小さくなったような印象だった。
会えなかったのは10日ほどのことだが、もっと長い時間が経ってしまったように感じる。
「大丈夫って何が?」
「その……私の為にしてくれたのかもしれないけど、養父とはいえお父さんを巻き込むのは……」
今度会ったら言おう、言おうと思っていた言葉が怒涛のように流れ出しそうになったその時、「おい! ちょっと待てよ」と朔也が強い口調で遮った。
「え? だって」
「満紀が言いたいことが沢山あるのは分かってるけど、基本的に誤解があるから」
「どんな?」
「あの男、つまり宮小路泰造は俺の父だ、遺伝子的にはな」
「だって養子じゃないの? それなのにホントのお父さんなの?」
言ってる意味がわからず、頭がグルグルしてしまった。実の父だというならなおのこと満紀の為の復讐の手駒に使っていいわけがない。
「ああ、そうだ。戸籍的には養子の形になっているが、オレはあの男の子だ。そしてアイツは俺の母の仇だ」
「言ってることが難しくて意味が分かんない。最初っから説明してくれる?」
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