〇だるま落とし

21/34
前へ
/247ページ
次へ
「化粧品かぶれってそれは朔也君が仕掛けたんじゃないの?」 「それも違う。俺はもっと違う方法で4段目を落とそうと計画していたが、別の人間が先に動いたってことだ」 「別の人?」 「満紀は緑子に復讐はしたいが、肉体的なダメージを負わせるのは性に合わないだろうと思ったんだ」 「暴力は苦手だからね、やっぱり分かっててくれたんだ」 「それくらいは分かるさ」 「じゃあ、誰が?」 「緑子が通ってるエステの新人が、ちょっとした失敗をしたらしいんだが、ご機嫌斜めだった緑子が激怒して、手ひどく叱責した上にその新人を首にしたらしいんだ。それでその新人が恨みに思って、エステを辞める前に緑子専用にキープされたコスメに劇薬を仕込んだらしい」 「これって偶然なの?」 「偶然だけど、弱り目に祟り目ってやつだな。人間、落ち目になってくると叩かれやすくなるってことだ。緑子もああいうキャラだから、色んなヤツに恨まれてたんだろうな」 「じゃあ、その後の事故っていうのは」 「フラフラ車道に出ていったらしいけど、自殺未遂か事故かは緑子本人しか分からないだろう。俺は勿論、リベンジポイントも一切関わっていない」 「こんなことって、あるものなんだね」
/247ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加