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結花が作って来たご飯はごく普通の和食。
肉じゃが・煮魚・菜っ葉の煮物・お粥とお味噌汁・そして緑茶。
ベッドの傍にあるテーブルにお盆を置いた結花は、ニコっと笑った。
「今日も孝治さんが好きな和食よ。たくさん食べてね」
言いながら笑っている結花だが、どこかその笑みは暗い影が見える。
「それじゃ、優衣さん後はお願いね」
そのまま部屋を出て行く結花。
優衣は孝治に介助用のエプロンをつけ、食事を食べさせ始めた。
「優衣さん…。いつもすまないな…」
食事の合間に孝治が言った。
「お気になさらないで下さい。今まで頑張ってこられたのですから、こうして人に甘えてもいいじゃないですか」
優しい言葉をかけながら優衣は微笑んでくれる。
その微笑は、結花とは違いとても優しく素直な笑みである。
食事が終わり、優衣はキッチンに空いた食器を持って来た。
シンクで洗い物を始めた優衣は、チラッとキッチンの棚の上に置いてある小さな小瓶を見た。
小瓶の中には何か透明な液体が入っている、量は半部くらいになっている。
「…量が減っている…」
そう呟いた優衣は何かを感じ取っているようだ。
洗い物が終わり、優衣は部屋に戻って行った。
優衣の部屋は2階にある。
西側にある、南向きの洋室でわりと広い。
介護の合間に部屋で一息つく事が、優衣の心の休息でもある。
「…ちょっと哲司さん。…こんな所じゃダメよ…」
声がして優衣はそっと足を止めた。
声が聞こえたのは寝室からだった。
東側の北側にある寝室からだった。
足音を忍ばせて、優衣は寝室の様子を伺った。
「大丈夫だ、誰も来ないよ」
「でも優衣さんが来るわよ」
「あいつは親父の介護につきっきり、今頃トイレ介助でもしているんじゃないか? 」
「もう、哲司さんって性悪ね」
チュッと2人がキスをするととが聞こえた。
優衣は冷静な顔をのまま様子を伺っていた。
中では哲司と結花がベッドの上で抱き合って、キスをしている。
哲司は坊ちゃんタイプのイケメン。
メガネをかけインテリーのような顔をしているが、メガネを外すと、きりっとしたイケメンに見える。
長身でスラっとしていて、ルックスもよい事からかなりモテているようだ。
キスをしながら結花は哲司のシャツのボタンを外し行く…。
「ねぇ哲司さん。お父さん、もうそんなに長くないわよ、最近とってもやつれて来たわよ、食欲もないようだし」
はだけた哲司の体にすり寄りながら結花が言った。
「そうだな、診察でもかなり弱っているのが判る。もう少しだな、親父が死ねば親父の財産はお前のものだ。そして俺は、あのボロ雑巾と離婚してお前と結婚する。この家も親父の財産も、全部俺とお前のものになるんだ」
「そうね」
スルっと結花の服を脱がせて行く哲司。
下着の肩紐を下げると、結花の胸に吸い付いてゆく哲司…。
「もう、哲司さん。ここは、貴方と優衣さんの寝室よ。いいの? こんな事して」
「構うもんか。あんな奴、一度も抱いた事ないし」
「抱きたいって思わないの? 優衣さんだって、一応女じゃない」
「無理! あんな婆さん誰が抱きたいんだ? 」
言いながら結花の下着をとってしまった哲司は、結花の首筋に唇を這わせてゆく…。
「もう…哲司さん。まだ子供は作れないか、ちゃんとコレしてよ」
結花は男性用の避妊具を見せてた。
「じゃあ、ちゃんとつけてくれよお前が」
言いながらズボンを下ろしてゆく哲司…。
ドア越しに聞いていた優衣は、そのまま何も言わずに去って行った。
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