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午前の診察が終わり昼休憩に戻って来た哲司。
昼中から堂々と夫婦の寝室で、孝治の妻である結花と不倫をしているとは…。
それを知って優衣は何も言わない。
この家はいったいどうなっているのか?
哲司と優衣が結婚したのは3年前。
孝治の紹介でお見合いして弁護士一家のエリートである優衣につられ、結婚を承諾した哲司。
結婚式は身内だけで地味に行われた。
結婚当初の優衣は、今ほどシワもなく普通の30代の顔をしていた。
ウェディングドレス姿の優衣はとても綺麗で、2人で写した結婚式の写真も笑顔で写っている。
しかし誓いのキスは軽く唇にしたものの、結婚初夜はなく…。
哲司はいつも仕事が忙しいと言って帰りが遅く深夜を回る事ばかりだった。
優衣は哲司が帰るまで起きていて
「お疲れ様です。夕飯たべましたか? 」
と言って、作っておいた夕飯を温めようとしてくれていたが。
「済ませてきた」
と言って、哲司はいつも優衣が作ったご飯を食べようとしなかった。
朝ごはんもいらないと言って、珈琲だけ飲んで仕事に行くばかりで。
結婚しても2人でご飯を食べたことはなく、休みの日も哲司は何かの用で出かけてしまい2人でデートした事もなかった。
優衣は家政婦状態で天野原家にいるようものだ。
夫婦の寝室も、シングルベッドが2つ並んでいるが、哲司は一度も優衣と一緒に寝たことはない。
それどころか触れようとしないのだ。
形だけの夫婦…。
そんな夫婦に当然、子供なんてできるわけもなく。
今では哲司は開業医としてますます忙しくなり、帰ってこない日もある。
孝治は妻の重代も、隠れて男を作っていたと話していた。
孝治と重代の結婚は政略結婚のようなもので、重代の家が資産家で支援する事を約束して結婚したと話している。
親子は似るのだろうか?
孝治も医師だったが、とても誠実で浮気をすることはなかったのだが…。
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