155人が本棚に入れています
本棚に追加
暫く優衣は涙が止まらなく泣いていた。
そんな優衣を哲司はそっと抱きしめていた。
「泣きたいだけ泣いていい。今まで、ずっと我慢してい来たんだ。泣いて終わらせればいい…俺も…感動しているんだ…」
哲司の頬にも涙が伝っていた。
喜びがあふれて心から満たされる感動で胸がいっぱいになっていたのだ。
「キスした時も、感動したが。…お前の事を抱いたら、胸がいっぱいになって心から満足できた。こんな気持ちは、初めてだ…。有難うな、俺と繋がってくれて…」
何か言わなくてはならないのは分かっているが、優衣は涙が止まらず何も言葉が出てこなかった。
ただ分かったのは、哲司の事を本気で好きになってしまったという事だけだった。
終わりにしなくてはならないときが、迫っているのに本気で好きになるなんて不覚だ。
優衣はそう思っていた。
その晩は2人で寄り添って、朝まで一緒に眠った。
お互いの体温を肌で感じながら、心から安心して眠れた夜だった。
翌日。
いつものように目を覚ました哲司。
目が覚めると優衣は先に起きていて、朝食の準備をしていた。
優衣が寝ているベッドで目を覚まし、隣に優衣のぬくもりを感じた朝。
こんなに穏やかな朝を迎えた事は初めてかもしれないと、哲司は思った。
リビングに行くと朝食が並んでいた。
ご飯とお味噌汁と卵焼き、ウィンナーとポテトサラダが用意されていた。
優衣は孝治の介助でいなかったが、哲司は一人で朝食を食べ始めた。
いつも以上に美味しく感じた朝食。
今日も1日が始まる。
哲司が朝食を食べ終わる頃、優衣が孝治の食べ終わった食器を持ってリビングに戻って来た。
いそいそとシンクに食器を持って行き、洗い物を始める優衣。
なんだか優衣の後姿が、いつも以上に愛しく見えた哲司。
幸せいっぱいの気持ちで今日は仕事に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!