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私はボロ雑巾…
人並外れた住宅地に、広い敷地に古風な日本庭園のような庭が広がるお屋敷のような家が一軒ある。
天野原。
ここは医師家系で代々腕利きの医師ばかりが育っている家柄。
主は天野原孝治(あまのはら・たかはる)70歳。
3年前に脳梗塞で倒れ寝たきりになってしまった。
頭はしっかりしているが、ちょっと言葉が出ずらい状態で、食事も介助が必要で右マヒがあり手が動かない状態で車いす生活。
そんな孝治の介護をずっとしているのは、哲司の妻である優衣(ゆい)36歳。
旧姓を宮樺(みやか)優衣と言い、弁護士家系に生まれたエリート一家の娘である。
孝治の紹介で哲司とお見合いして結婚して、今は専業主婦として天野原家を支えている。
家事全般を優衣がこなしていて、孝治の介護もしている事から結婚当初に比べ随分と老けてしまった優衣は、目の下には沢山のシワがあり、ほうれい線も深く彫り刻まれ年齢よりも老けて見える事から「お婆さん」と言われることも少なくない。
服も地味な黒系のブラウスと黒いスラックスと地味な格好ばかり。
背丈はスラっとして長身だが、背中は丸くなってしまっている。
結婚して3年経過するが子供はいない。
孝治の介護が大変で子作りどころではないようだ。
広いお屋敷の中にある1階の洋室。
かなり広い部屋に、介護用のベッドと車いす、そして広い窓があり庭が良く見える。
ベッドを起こして、車いすに孝治を移乗させている優衣。
孝治はつかまって立つ子が出来る分、少しは楽だが女性の優衣にしては大柄な孝治を支えるのは負担そうである。
「優衣さん、いつもすまないね」
片言の言葉であるが孝治がお礼を言った。
「お気になさらないで下さい。嫁として、当然のことですよ」
疲れ切った顔でも笑顔を絶やさない優衣。
そんな優衣を見ていると、孝治も癒されている。
「貴方、ご飯が出来ましたよ」
かん高い声色で、お盆に食事を乗せて運んできたのは孝治と3ヶ月ほど前に再婚した結花(ゆか)。
哲司の病院で働いている看護師で、優衣のサポートをするといて天野原家に来たが孝治と愛し合うようになり再婚した。
食事の用意だけをしている結花だが。
爪にはネイル・メイクは濃い・服装は派手でいつも短いスカートに露出の高い派手な服を着ている。
とても介護をサポートするようには見えない格好である。
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