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こいつはメディ・ゴルゴーン。俺の動画プロデューサーを名乗る女。
まだ14歳のくせに上品ぶった顔立ち。旧家のご令嬢という特権階級民である。
だが実際のところは、この異世界に俺を勝手に召喚してコキ使っている許しがたき誘拐犯だ。
「お立ちになって! 周りにいる獣人さんが映りこんでしまいますわ!」
メディの構える撮影用カメラの前には、獣人たちが群がっていた。
カバ獣人とネコ獣人がマヌケな会話をしている。
「もしかしてテレビ局の人かば~?」
「見たことがないタレントさんだにゃ~?」
豹頭の男に至っては、カメラに向かって ピースサインを連打している。
「いぇーい! 母ちゃん見てるぅ? ピスピスピスピス!」
散々にビビらせてくれたが、完全なる田舎者ムーヴだ。
ようやく恐怖から己を奪い返せた。
こいつらはテレビカメラを珍しがるような田舎者なのだ。委縮などすべき相手ではない!
「散れ! 散れ! カッペども邪魔だ!」
「これ、いつテレビで放送されるのかば~?」
カバ獣人が眠そうにあくびをしながら尋ねてくる。
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