犬の友達

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 だが一匹ぐらい犬同士の友達がいた方が楽しいのではないか。相性の他にも色々な問題があるので、作るべきとは断言出来ないが。 「あの子も可愛いのよ」  心を読んだかのように彼女が呟いた。  顔を上げた綾に、先程の凍てつく視線が嘘だったと錯覚させる程、柔らかい表情で続けた。 「写真はないんだけど。茶色で、くるんとした黒目の子。寂しがり屋。新しい友達が欲しいんだけど、どうかしら?」  首を傾げて尋ねる彼女に、一拍おいて綾は頷いた。  つまり休日に親しくない女子相手と遊ぶという約束になる。  綾は一瞬躊躇したが、あの子に友達が出来る期待に背中を押された。 「連絡先、交換しましょ」  予鈴が鳴る一分前。手早く済ませた。表示された美也という字で漸く名前を知る。  教師が入ってくるのを視認し、後で詳細を決めようと小声で話を打ち切った。  
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