元勇者=そこら辺の騎士

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 「生憎、今は騎士の数に余裕がないのだ。元勇者と言えど、そこらの騎士程度の実力はあると思ったのだが、違うのか?」  皇子の世話をするのに騎士の余裕がないとは、ずいぶんと適当な言い訳だな。  ここへ来る途中にすれ違った第二皇子は、ただ城を歩いているだけで10人以上もの護衛を付けていたぞ。  その内の2人でも第四皇子に護衛を付ければ、国の付近に出る魔物程度なら簡単に倒せるはずだ。  それでも騎士を着けず俺に任せるとは。面倒事に巻き込まれる予感しかしない。  「確かにそこらの騎士程度の腕はあると自負しておりまずが、皇子の世話係なんて、私には荷が重いです」  「そう気を追わずともよい。魔王討伐に参加したお主なら難しいことではない」  「ですが——」  「引き受けると言うのであれば、今お主が抱えている問題を解決してやろう」  「もしかして……」  金をくれるということか!  「手配書の件は安心すると言い。誤解だと市民のものに呼びかけよう」  今更そんなことはどうでもいいんだよ!  誤解だと触れ回ったところで手配書は消えるかもしれないが、元勇者と後ろ指を指されるのは変わらない。  「それと、皇子と共にギルドで働けるように手配させるつもりだが」  この野郎、俺がギルドで働けないように手を回していやがったな。  「どうするのだ?」  拒否権も無いのにどうするか聞くなよ、白々しい。  「……お受けいたします」  「おお、良い返事が聞けて何よりだ。もし断られでもしたら、儂はお主に死刑宣告しなければならんところだったぞ」  「……」  大口開けて豪快に笑っているところ申し訳ないが、そのジョーク俺は全然笑えないからな。
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