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彼女がコピーのように同じ言葉を繰り返す。
しかし俺には屋上で見たのと同じく、血まみれの少年四人と血まみれの少女一人が見えた。
ぞっとするような恨めしさでこっちを見ている。
俺は無視した。
道場は一軒家よりは大きいが、巨大な建造物というわけではない。
ほどなくして全てを見終えた。
車に乗ってすぐに、彼女がまた言った。
「なんにもなかったし、幽霊もなにもいなかったわね」
俺は心の中でつぶやいた。
いるよ。
お前のすぐ後ろの後部座席に、血まみれの少女が一人。
終
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