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「で、翔太は?」
涼子が連絡をしたので、康平は早めに仕事を切り上げて急いで帰宅した。
鈴木が戻ってきていることは聞いていたが、こんなに早く接触するなど予想もしていなかった。翔太がどれほど怖い思いをしたか、考えれば胸が痛む。
「疲れたみたいだから休ませたわ。ところで佐伯君……翔太と付き合ってるんですってね」
「ああ。済まなかった…報告が遅くなって。翔太とは真剣に交際している」
「その件について色々言いたかったのに、それどころではなくなってしまったわ」
鈴木が翔太に何をして、何を言ったか聞くと、康平の顔はどんどん険しくなっていった。
かつて自分のせいで翔太が刺される事態になったというのに、凝りもせずまた付き合おうだなんて、よく言えたものだ。
「そいつは頭がおかしいのか?」
「私もそう思った。どうしてまた付き合えると思えるのか、意味がわからないわよ」
「そいつがこのマンションは知らないと思うが…用心した方がいいな」
「早急に訴える準備をするわね。近藤英介の時みたいに、接近禁止命令を取っても、ちゃんと守る気がしないけど…」
頭のおかしな相手と、どう戦えばよいのだろう。翔太が傷付かないように鈴木を追い詰めるには、どうすればよいのか。
「とりあえず、私は事務所に戻って義父と話す。翔太のこと、よろしくお願いします」
「全力で守るよ。そんな変態、二度と近寄らせるもんか」
「頼んだわよ」
涼子を送り出し、康平は寝室で眠る翔太の様子を見に行った。
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