第6話

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「もし反対されても、僕は康平さんから離れたくないです」 「俺も翔太を手放す気はない。そこは二人で説得しような」 あれ……? そういえば康平さんのご両親の話を聞いたことは無かったな。 「康平さんのご両親の方は大丈夫ですか?恋人が男では、抵抗があるのでは…」 「親には話してある。二人とも海外に居てな。比較的理解はある方なんだ」 男だからとか、女だからとか、性にはこだわりの無い両親に育てられたおかげで、康平も付き合うのは男であったり女であったりだった。恋人と長続きしない息子を、両親は案じていたが、本気になれる恋人が現れて安心してくれている。 翔太なら両親も気に入るだろうと、康平には自信があった。 「いつか、日本に帰ってきた時に紹介するからな」 「はい。お会いしてみたいです」 康平と話していると、鈴木のことは、頭の片隅に追いやられてしまっていた。 もう、終わったことだ。 妻が入院中で、鈴木も気が大きくなっていただけだろう。きっと妻が退院したら、かつての不倫相手なんかに構っていられなくなるはずだ。 あの激しい奥さんだもの。 今度浮気をしたら、先生だって殺されちゃうかもしれないし…。 「さ、夕飯の支度をするか。翔太は休んでろよ」 「起きます。一緒に料理しましょうよ」 翔太が康平を見上げて笑う。 先程のぎこちない笑顔とは違う、柔らかい笑みに、康平も自然と笑顔になる。
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