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仲良くするには程遠い
「こんのクソオヤジいいいいい!」
「ぶへえ!」
ものすごい怒鳴り声とともに、俺の体はベッドの外へとぽーんと弾き飛ばされた。娘の蹴り、まじハンパない。ただでさえ、母親に似て体がでっかい娘はパワーもハンパないのだ。俺の体は無残にもフローリングの床をころころころーっと転がっていくことになった。
「おま……お前!もっと手加減しろよ!そして父ちゃんに優しくしろ!」
思いきり蹴飛ばされた顎をさすりながら言うと、娘はがるるる、と唸りながら告げた。
「人のベッドに勝手に入りこんでくるセクハラオヤジに言うべき言葉は何もないです。ぶっ殺すぞ」
「そんな乱暴な言葉教えた覚えない!父ちゃん悲しい!」
「本当に殺されたいの?ん?」
「やめてこわい」
でっかい母親とちっさい父親の間に生まれた娘は、俺の遺伝子何処いったの?というくらいに体が大きい。上から見下ろされると本当に恐怖しかない。俺は小さな体をさらにぷるぷると縮めて涙目になるしかなかった。
暴力反対。お願い、入院中のおかーさん、早く帰ってきてください。まあ帰ってきても、おとーさんの味方はしてくれないかもしれませんが。
「可愛い娘と一緒に寝たいじゃん。何でだめなの、まだミクちゃん子供でしょ?身体は大きいけど」
大丈夫だよ!と俺は繰り返す!
「断じて!いい匂いするなーって首のうしろクンクンしたりしないから!我慢するから!」
「それ言ってる時点でアウトなんだよ気づけ!」
「ぶぎゃっ」
頭突きを食らって、俺は壁までふっとぶ結果となった。ああ、愛が重たい。いつになったら娘ちゃんは自分の愛を受け止めてくれるようになるんだろうか!
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