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あれから数日過ぎた
6月だというのに暑い日、寒い日とコロコロ変わり服に困る
温暖化のせいかもしれないが......
大雨の降る夜だった窓ガラスにバシバシ当たり
稲光が光りその後、少しすると雷が大きく鳴る
「きゃ~怖いから雷鳴るなぁ~何よこの天気!」
カーテンを閉め 夕飯の後片付けをしていると
電話が鳴った舞の母からだ
いつもの話しから始まる
「もしもし舞、いい人出来た?
早く花嫁姿見たいわ!孫の顔も見たいわ!
えり好みし過ぎじやないの?」
「ママ、ハイハイ、その内ねぇ~
8月のお盆休みに帰るからね!恵美と一緒に」
母の声のトーンが上がる
「本当!楽しみだわぁいつ?恵美ちゃん元気?」
「結構二人で楽しくしてるよ!
日時が決まったら連絡するね!おばあちゃんや
パパ元気?」
「おばあちゃん ?元気過ぎる位元気よ〜
パパもおばあちゃんも、いつ舞が帰って来るかって寂しがってるわ!
恵美ちゃんのママの幸恵さんにも言っておくわね
きっと大喜びするわよ~
楽しみに待ってるから
じゃあね 、体に気を付けてね舞」
「うん、ありがとう ママじゃあね」
電話を切る
ミィ〜ミィ〜と猫の声がする
「え!猫?こんな大雨に?」
雨が打ち付ける窓を開け下を見ると、雨に濡れ
崩れかけたダンボールの方から聞こえる
舞は 傘を持ち急いで下に降り、その箱の周りを
探す
「猫ちゃんどこ?おいでぇ何処にいるの?」
懐中電灯で探す
壊れたダンボールの隙間に 、ずぶ濡れになった
子猫が震えながら鳴いていた
「あ、こんな所にいたの?なんて酷い事を!
可哀想に、こんな小さな子猫を捨るなんて!
大丈夫だよ、猫ちゃんおいでぇ怖かったね」
そっと、その猫を抱き上げるとしがみついて来た
余程怖かったのだろう、体も冷えきっている
急いで部屋に戻り
傷がないか調べ、ぬるめのシャワーで泥だらけの
子猫を洗う
目ヤニや、耳の中も丁寧に洗ってやった
部屋に戻りタオルで体を拭き、ドライヤーで乾かしてやる
黒猫で青い目をした男の子だ
片手に乗る程小さな黒猫は、気持ち良さそうに
目を細めじっとしている
お水をやると、喉が乾いていたのか長い間飲んでいる
落ち着たのか疲れているのか腕の中で眠って
しまった
ベットに座って黒猫を抱きながら、耳の中や歯が生えているか調べる
「3ヶ月ぐらいかな?可哀想に痩せちゃって......
小さな歯が生えてるから子猫缶も
ドライフードをミルクでふやかしたら大丈夫ね
怪我も無し!なんて可愛い子、うふっ」
思わず笑顔になる
ぐっすり眠っている黒猫を撫でながらベットに
寝かせ、そっと掛け布団を掛けてやる
急いでシャワーを浴びドライヤーで髪の毛を
乾かしていると音で目が覚めたのか鳴き始めた
「起こしちゃった!ごめん、ごめん ヨシヨシ
いい子いい子お腹空いたのね!
子猫用の缶詰と子猫用のミルクは......あった!」
舞はいつでも野良達の老犬、成犬用、子犬用
猫用、子猫用、老猫用の缶詰やミルク缶、哺乳瓶迄も用意してあるのだ、
子猫用缶詰めと子猫用の粉ミルクをぬるめお湯で溶かし器に混ぜて入れてやる
「ハイ!マンマだよ、沢山お食べ」
子猫は顔をつっこんで、無心に食べている
「ほら、誰も取らないからゆっくり食べて
お腹空いてたんだもんね!ヨシヨシ」
そっと撫でながらしばらく見ていた
満足したのか顔を上げるとべちょべちょだ
「あらまぁ、キレイキレイしょうね!うふふ」
お湯でタオルを濡らし そっと何度か洗い乾いた
タオルで拭き又ドライヤーで乾かしてやる
「よし!イケメンさんの出来上がり!」
抱きながら歯磨きをした後
黒猫と一緒に歴代の写真を見せた
「この子達はお前の先輩だよ
みんなお友達が来たよ、よろしくね」
ベットに座ると
「明日、谷口ペットクリニックでとりあえず
検査と注射しないとね!歴代の皆も先生にお世話になってたんだよ、谷口先生は優しいから大丈夫
お前の名前は......ええと......」
大勢の動物達に、名前を付けていたので悩んだ
あれこれ散々考えた挙句
「シンプルにクロ!どう?」
「ミィ〜」
「気に入った?じゃあ、クロに決定!
よろしくねクロ、私は舞、今日から家族だよ!
今日だけ一緒にネンネしょうね 、おやすみクロ」
舞が腕の中で撫でてやると、クロは喉をゴロゴロ
鳴らし、安心したのか直ぐに寝てしまった
「疲れてたんだね、ゆっくりおやすみクロ
可愛いねうふっ」
舞も、いつの間にか深い眠りに入っていった。
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