黒猫

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「そんなに酷い目に会ってたなんて 嘸かし辛かったでしょう、酷過ぎるわ! そんな人間を、怨むのは良く分かるわ 私もきっと、そうして怨むかも知れない でも、そんな人間には、必ずバチが当たって 苦しんで死んでるわ!」 「ああ、その通りだ!末代迄なふふふ」 「それで恨んでるのは、分かったけど あなたの家族は、ここに居ないのは何故? 生まれ変わって、幸せになっているからじゃないの?」 「そ、それは......」 「あなただけ、頑固に異世界に帰らない何故? あなたに名前はあるの?」 「そんなものは無い!」 「じゃあ、私がつけてあげるわ 男の子でしょ?犬?猫?柄は?」 「猫だ、三毛猫だ」 「ええ、三毛猫の男の子?中々居ない子だよ 凄いじゃないの、きっと優しい家族が出来るわ 鉄の様に頑固だから、小鉄ちゃんどう?」 「小鉄......それが私の名前か?」 「そうよ、いいでしょ?小鉄ちゃん」 「初めてつけて貰った......小鉄 照れくさいものだが、嬉しい様な......」 「素直に喜べばいいのよ でも、あなたに家族が出来れば名前は変わると 思うけどね 小鉄ちゃん異世界に帰って、いつか会えればいいね 待ってるよ、帰る気になった?」 「分かった、お前を信じてみる事にしよう」 「ありがとう、頑張れ小鉄ちゃん もし迷ったらクロが、話しを聞いてくれるわ 勿論、私も出来る限り、力になるからね」 「感謝する、お前の名前は?」 「舞よ、よろしくね、小鉄ちゃん」 「舞、お前の名前は忘れない、ありがとう 私は異世界に帰る事にする、さらばだ......」 そう言うと光の玉は、輝きを増し異世界を目指し消えて行った モヤモヤは、全て消えて無くなった 舞は、暫く空を見上げていた 「幸せになるんだよ、小鉄ちゃん」 舞は車を、施設の方へ向かった 拓に病気等していないか、診察してもらう為だ 「クロ着いたよ、怖くないよ ここが私の仕事場、これからずっと一緒だよ アレ、診察室の明かりがまだついてる 具合悪い子がいるのかな?」 舞はクロを抱き、診察室に入った 「誰か具合悪いの?」 「舞!ビショ濡れじゃないか! 早く着替えて来い風邪引くぞ!アレ、その子どうした?」 「クロよ帰って来たの、体調診てくれる?」 拓は意味が分からない様子だ 「舞、頭大丈夫か?クロは死んだんだ とにかく風呂に入れ、その子は診るから」 「クロ待っててね、すぐ戻って来るからね」 「ミイ~ミイ~」 「お前は、小さいな~2ヶ月位かな? どれ診てやるよ、怖くないからね 先ず、体を拭いてやるからな」 拓は丁寧に診察した、ブツブツ言いながら 「舞の奴、何言ってるんだ? クロはもういないのに! お前は可愛いなあ、おチビちゃん」 診察が済むと、毛布に包んでやった 哺乳瓶でミルクをやると、必死で飲んでいる 「腹減ってたんだな、寒かっただろ? こんな大雨に捨てられたのか?可哀想に いっぱい飲んで大きくなれよ」 「ミイ~」
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