黒猫

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舞が風呂から出て、自分の部屋で着替えた 施設内の改築された部屋が舞の部屋だ 拓の部屋も同じ階に有る 同じ階に、ボランティアが泊まれる部屋も有る 勿論、男女別に分けてある いつも、数人が交替で泊まっている 皆小さい部屋だが、満足していた 皆いい仲間で有る 動物好きが、遠い所からも来てくれるのだ スタッフとしては、まだ雇えない 施設のローンを払うので、精一杯である 拓の父は、全額払うと言ってくれたが断った 自分で 、やり出した事なのだ 親に甘えるつもりは無い ポリシーの外車も売り、ワゴンに乗り換えた 薬品は父の会社から、仕入れている 医療機具は、知り合いの友人に頼んで買った 収入源は、一般の患者の動物達を診ている そしてレストランも、一般客が来てくれている それで何とか、生活出来ている 何不自由無く育った拓だが、辛いとは思わなかった 「ごめんね拓、クロ大丈夫だった?」 「舞、クロじゃねえよ、この子どうしたんだ?」 「恵美の月命日だから、お墓に行ってたんだ それでクロを見つけたんだよ、ねっクロ」 「クロの写真見たけど、こんなに 小さくなかったぞ」 「でも良く見て、クロなんだよ!」 舞は言いかけて、やめた 話した所で、誰が信じてくれるだろう 「私のクロで、いいじゃない!」 拓は呆れ顔で舞を見た 「舞、何かおかしいな、何か隠してないか?」 「えっ!べ、別に何も、イヤ〜ねアハハ どこも悪くなかったんだね、よかった ミルクも良く飲んだねクロ、うふっ 拓こんな時間に何してたの?誰か具合悪いの?」 「イヤ、薬が届いていたのを整理してたんだ 恵美の月命日なら、俺も行ったのに」 「忙しいそうだったから、ごめんね今度行こうよ」 拓は、何か隠していると感じたが聞かなかった いつか、自ら言うだろうと思っていた 「そうだな、それでクロをどうするんだ?」 「勿論、私が飼うに決まってるじゃない」 「だろうな、飯食って寝るかな」 「そうだね、お疲れ様」 拓はクロを舞に手渡し、病院に鍵を閉めた 雨はいつの間にか、やんでいた 舞と拓はレストランの賄いの弁当を食べた ボランティアの子が、いつも作って置いてくれているのだ 舞も手が空いている時は、レストランを手伝っている 食事が終わると、人通り動物達を見回ってから 部屋に戻るのが、日課である 「異常無し!皆大人しく寝てるよ」 「さあ、俺は風呂に入って来るか 舞はクロと寝るんだろ?」 「そうだよ私のクロだもん、ねえクロ」 「ミイ~」 「コイツ返事してるんだアハハ、じゃあおやすみ」 「おやすみ拓、ゆっくり入って寝なさいよ」 「俺はガキか!アハハ」
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