黒猫

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翌朝、クロは小さな体で舞に飛び起こした 舞が目を覚ますと、一応ドンをしていた 軽いので、何度もドンをしていた 「アハハ、クロ軽いからドン効かないよ」 (やっぱり無理だニャン!) 「う~ん可愛い、クロおはよう」 (おはよう舞) 「オシッコは?」 トイレを見ると、オシッコはしていない 舞は急いでテッシュで刺激すると 、オシッコが たっぷり出た 「おバカさん、我慢したんだね? クロ、起こしてくれればいいのに~ ウンチも出たね!小さいウンチアハハ」 (笑ったニャ~、エイエイ) 「全然効かないよ、ごめんごめんアハハ」 舞はトイレの掃除をし、ミルクを哺乳瓶で飲ませた クロはむっとした顔で、ミルクを飲んでいる 「怒らないの!まだ、歯も生えて無いんだよ マンマは無理なんだから」 ミルクを飲み終えると、又オシッコをした 「直通だねアハハ」 (又笑ったニャ~!エイエイ) クロは舞の足に飛び付く 「だから痛くないってアハハ」 数ヶ月経ちクロも、小さな歯が生えて来た頃 舞は顔を洗い、服を着替えて動物達の所に クロを連れて行った 「クロみんないい子でしょ?野良ちゃん達だよ」 (皆舞が、見てるニヤ?) ボランティアの事、病院の事、レストランの事を 見せながらクロに話した 「クロも、もう少ししたら手伝ってね 結構大変なんだよ」 (家族を見つけてあげると、いいんだニヤン?) 「そうよ、優しい家族をね」 (分かったよ、あの人飼ってくれるよ、犬だニャ) 「えっ」 レストランに、いつも来てくれている客が 朝から来ていた 「おはようございます、内田さん まだオープンして無いけど、こんなに早く どうしたんですか?」 「おはようございます、すぐ欲しかったもんで タクシーで飛んで来ました!あの子です」 聞けば大分前から飼うか、やめようかと散々 悩んでいたらしい 夢に迄見て、急いで来たと言う 初老の為、もし自分が先に逝ったらと悩んで いたのだ どうしても頭から離れず、もし他の子になって しまったら悔いが残ると、眠れなかったらしい 「あの子貰えませんか? こんな年寄りでもいいですか?」 「まだ、お若いですよ 万が一飼えなくなった場合、例えば入院とか 家族に見てくれる人がいないとか そんな時は、こちらで引き取りますから大丈夫ですよ」 「本当ですか?よかった、ありがとうございます 直ぐ、合わせて下さい」 小走りで、その子の所に飛んで行く 「この子です、おはようラッキー」 もう、名前もつけていた 舞はこの人なら、大丈夫だと思った 早速、ラッキーを出してやり内田に委ねた 内田は余程嬉しかったのか、ラッキーを 抱きしめながら撫でていた 「ラッキー家に来てくれるか?」 「ワンワン」 ラッキーもシッポを振り、喜んでいた 「そうか、いい子だ、いい子だ」 舞はニコニコしながら見ていた その子は3歳位で、人懐っこい男の子だ おそらく柴犬のミックスで、片耳が立っていない 小型犬で可愛い子だ 年配者には最適な大きさだろう 「手続きしてくれますか? すぐ連れて帰っていいですか? フードやハウスも全部、欲しいんですけど」 「はい、分かりました、内田さん落ち着いて」 「すみません嬉しくて」 「ラッキーちやんも喜んでますよ 良かったね、ラッキーちやん いい家族が出来たね」 「ワンワン」 舞は早速、用紙を渡しサインをして貰う 犬用の一式を用意し手渡した 「お幾らですか?」 「要りませんよ、頂き物ですから」 「それは駄目ですよ 皆、新品じゃないですか!」 内田は受け取らない舞に、無理矢理手渡した 「ココの子達に、何か買って上げてください」 「こんなに多過ぎますよ、内田さん」 「私とラッキーの気持ちです、寄付ですから その代わり荷物を送ってくれませんか? 荷物がなければ、歩いて帰れるんですけど」 「もちろん、いいですよ お金有難く頂戴しますね、他の子達の為に使わせて 頂きます、ありがとう内田さん」 内田は車は無いので、舞の車で送る事にした 「その前に、一応病院で検査して貰ってから お渡ししますので、先生に診て貰いますね」 「お願いします」 拓がドアーを開けた途端、舞が入って来て 驚いた 「どうした?」 「先生、この子貰ったんで診てやって下さい」 「こんなに早くどうしたんです?内田さん」 舞が説明して、拓は喜んでいた 「内田さん、可愛いがってやって下さいね この子の辛い3年間を、取り戻してやって下さい」 「はい!約束します」 拓はラッキーを丁寧に診察した 「健康そのものですよ、良かったなラッキー」 「ワン」 「ミイ~ミイ~」 「クロも良かったって言ってますよ」 「えっ?ああそうですか 可愛い猫ちゃんですね、この子も野良ちゃんですか?」 「そうです、私の猫ちゃんクロです」 「お前も家族が出来たんだね、良かったね 可愛い猫ちゃんですね」 「ミイ~」 (当然だよ〜) 舞はクスッと笑ってしまった 「内田さんありがとう、褒めて頂いて嬉しいです」 「内田さん、連れて帰っていいですよ」 「はい、ありがとうございました先生」 グ~と内田のお腹が鳴った 「内田さん、お腹空いてるんじゃ?」 「お恥ずかしい、朝何も食べずに来たもので」 「レストラン開きましたよ」 「食べてからでいいですか?」 「もちろん、ゆっくり食べてくださいね ラッキーちやんもまだ、食べてないですし」 「ラッキー、一緒に食べような」 「ワン」
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