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舞は拓の胸に、しがみつきながら泣いている
拓も頬を濡らしながら、舞を抱きしめていた
クロは、静かに見守っていたのだった
落ち着いた舞は気づいた、恵美の言う通りだ
自分だけ幸せになっては、駄目だと思っていた
拓の優しさ、胸の温もり
今迄、自分の心を偽っていた事に
舞は、拓を愛しているのだと......
「大丈夫か?舞」
「うん大丈夫、ありがとう拓」
「びっくりしたよ、マジだったんだな」
「だから、そう言ったでしょ」
拓はまだ今起きた事が、信じられない様子だっが実際恵美を見て話したのだから
信じない訳にいかなかった
「舞を信じるよ、恵美と会えたんだからな」
突然、拓の電話が鳴った
インターンの今井からだ
「先生、モンちゃんの具合がよく無いみたいです
診て下さい」
「分かった、直ぐ行く」
「どうしたの?」
「この間来た、モンちゃんが具合悪いらしい」
「私も手伝うよ、クロ待っててね」
二人は診察室に急いで行った
クロはガッカリしていた
(人間って恋愛に時間、掛け過ぎだ
もう、とっくに結婚出来てたのにニヤ)
ふあ~と大きくあくびをして、ベットに飛び乗り
細長い尻尾をパタパタしながら
文句を言っていた
数日経って、拓と舞がプライベートビーチを散歩
していた
「モンちゃん元気になって、良かったね」
「ああ、良かったな」
拓はいつもと違う、変にソワソワしている
「拓どうかしたの?」
その時、突然拓は舞の前でひざまずき
舞の目を熱い視線で見つめ、指輪を見せた
「舞、これからの人生を、俺と生きてくれないか」
「拓......」
舞は嬉し涙が溢れた
「拓、嬉しいありがとう」
舞は突然のプロポーズに、驚き震えていた
拓は舞の震える手の左薬指に、指輪をはめた
舞は拓に抱きついた、拓も抱きしめ
優しく口ずけをした
「もっと早く渡したかったんだ
いつ渡そうかと思ってたんだけど、勇気がなくて
遅くなってごめんな」
「私こそごめんね
恵美に言われて、気づいたの
自分だけ、幸せになっちゃいけないとずっと
思ってた
でも 、今なら言える、ハッキリ言える
拓を心から愛してるって」
「舞、愛してる」
「私もよ拓、愛してる」
二人は長い口ずけをした
海が夕日に照らされ、波の音だけが聞こえていた
(舞、幸せになってニャ、恵美、見てる?
恵美も、喜んでるニャン)
クロは離れた木の上から、舞と拓の幸せそうな
姿を静かに見守っていた
美しいクロの青い目は、海よりキラキラ輝いていた
完
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