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アルディス五大貴族の一つ、オールティストン一族に属する、アインスフェルト家の一人娘として生れたソフィは、幼い頃から、こうした歴史に関する書籍を読むことが好きだった。
というよりも、それは歴史だけに限ることはなかった。
たとえば空想の物語でもいいし、新しく生み出された魔法の技術でもよかった。世界のさまざまな土地についての情報でもいいし、ときにはお洒落なファッションの雑誌でもいい。
活字を眺めていると、ソフィは不思議と楽しい気持ちになれたのだ。
アインスフェルト家の書斎には、古いものから新しいものまで、たくさんの書籍が並べられているし、クラッドストン学園の図書館ともなれば、その比ではないほどの大量の書物が格納されている。
ソフィにとってみれば、それは宝の山のようなものだった。
特に古めかしい書籍などともなれば、それは歴史的な財宝のようですらあった。そんな宝の山の中を歩いて、黙々と一人だけの世界に入り込んでしまうと、時間が流れるのすら忘れてしまうくらいなのだった。
といっても、ソフィは別に、一人であることを特別に好んでいるわけではなかった。それに友人を作るのが苦手ということも、他人と関わるのが苦手ということもないのだ。
けれど貴族という立場は、少なからず周囲との、目に見えない壁を作るものではあった。
貴族とは、限られたごくわずかな人間だけに与えられる称号だ。たとえ世間知らずといわれようとも、そのくらいのことはわかっているつもりだった。
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