◇ヴァンパイアハンターとヴァンパイア

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「あ……」  僕の顔を掴んでいた手が離れた後、僕はその場にへたり込んだ。 「大丈夫!?」  ヴィクターが駆け寄ると、僕とその人の間に割って入る。  いや……もはや『その人』ではなく、僕の祖父、だ。 「思い出したか、聖弘よ」  祖父が僕を見下ろしている。その眼はやっぱり冷たいものだった。 「そんな、お爺、さま……」  それだけ、やっとの思いで僕は言葉にした。  アインさんのお店に、『ビストロ・ノクターン』に転がり込んだのは偶然ではなかった。しかもただ転がり込んだだけじゃない。  『相手が油断した所を……』  酷くショックだった。  これから先もずっと働いていきたい、そう思った素晴らしいあの場所を。  壊すために自分がそこに行かされたという事実に僕は絶望した。 「計画が狂ってしまったが仕方ない。暗示自体は完全に解いたわけではないのだ」  僕の意志など無視するかのように、祖父は尚も話を続ける。  耳を塞いでしまいたかった。全部聞かなかったことにして、忘れてしまいたかった。  もう一度。 「やめて貰えますか? きょっぴーの親族の方みたいだけど……嫌がってるじゃないですか!」  ヴィクターが強い口調で、祖父に怒った。  祖父は微動だにせず、視線のみをヴィクターに向ける。 「ふん、人造人間如きが口出しするな。私の敵はヴァンパイアのみだが、邪魔だてするなら貴様も容赦はしない」  その言葉にヴィクターが一歩、後ずさりする。  駄目だ、ヴィクターに戦わせるわけにはいかない。  僕は知っている、祖父は無茶苦茶に強い。
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