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「だよなぁ、普通みんなこうなるよなぁ」 いや畝麩が弱いんだって。今ヒザって10回言った後にヒザって言ってたから。何やってんの本当。私にクイズを出せ、私に。 「では……次は僕がいきましょう」 「おう、頼むぞ」 フッ、10回クイズに弱い極まりないこの男に私が負けるわけないだろう、どれ、出してみなさい私に! 「貴方、そう、と10回言いなさい」 そ、そう? えー、そうそうそうそうそうそうそうそうそうそう。 「鼻の長い動物は?」 象。 「ダメだったか……」 言いやすかったわ。もう象って言う口になってたから。いやお前らさ、もっと騙すことを考えろよ。 「騙すこと?」 ピザって10回言わせて、ヒザ、って言いやすくした状態でヒジを指差すから引っかかるんだよ、10回クイズって。 「あぁそういう意味合いもあるんだ」 そういう意味合いでしか成り立ってないのよこれ。 「じゃあそれを踏まえて俺いくぜ!」 よっしゃ来い、御飯。 「シャンデリアって10回言え!」 シャンデリアシャンデリアシャンデリアシャンデリアシャンデリアシャンデリアシャンデリアシャンデリアシャンデリアシャンデリア! 「では、グリム兄弟が編集した『グリム童話』という書籍において、53番目に収録されている物語は?」 えーと、えー……分かんない、え、シンデレラ? 「ブー! 白雪姫でしたー! 引っかかったー!」 もうクイズじゃん。ただのクイズ。引っかかる以前に知らないんだもん。 「え、知らないんですか? 貴方、こんなものですね、マンドリルでも分かりますよ」 猿でいいじゃん。猿でも分かるでいいじゃん。 「我々のようなグリム童話愛好小学校出身でなくても、このくらいは流石に……」 どえらい小学校出てんじゃん。いや今のは無しだ、無し。 「何なんだよまじで」 「では貴方、粉、と30回言いなさい」 30回? いやまぁいいけど。えーと、粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉粉! 「ゲシュタルト崩壊起こすわ!」 何言ってんだおめぇ! 「お前、私はバカ、って10回言え」 はぁ? 私はバカ私はバカ私はバカ私はバカ私はバカ私はバカ私はバカ私はバカ私はバカ私はバカ。 「へっへーい! 自分で言ってやがるよバーカバーカ!」 お前ら勝つ気ないだろ。今の二個ともクイズですら無かったしな。文字で読まないと分かんないゲシュタルト崩壊だの小学生みたいなノリだの、お前ら私のこと舐めてるだろ。 「いやそりゃあね、32歳にもなって平日の昼間にこんな事して……」 いや、32歳になっても働けない人もいるわけじゃん、な。 「あ、32歳なんですねやはり」 あーもういいよもうそれで。
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