趣味・特技

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趣味・特技

「お母さんに他の理由なんて書けないだろうからもう、高倉健と一緒に仕事がしたかったって素直に書いとけばいいよ。次いこう。」 「そうだね、こういうのは素の自分をさらけ出すのが一番だね! お母さん、何だか楽しくなってきたよ!」 「次は趣味・特技だって。お母さん、なんか今までに賞状もらったり表彰されたりしたことある?」 「お母さん、賞状は三枚しか持ってないな。 小学校の卒業証書と中学校の卒業証書と緑綬褒章(りょくじゅほうしょう)」 「り、り、緑綬褒章(りょくじゅほうしょう)!? 冗談でしょ? あれって天皇陛下から賜るやつだよ!?」 「あれ? 言ってなかったっけ? こないだ清掃ボランティアの功労者にってもらったんだよ、ほれ」  お母さんは引き出しから緑色のタイのついたメダルを無造作に出してちゃぶ台に乗せる。 「商店街のお掃除ありがとう表彰とかでもらったんじゃないの?」 「違うよ、ちゃんと皇居行ってもらってきたんだからさ。あんたも知ってるだろう?娘時代からお母さん、毎日靖国神社の掃除してたの」 「ええっ? 雨の日も雪の日もどこかに行くなと思ったら靖国神社の掃除してたの!?」 「そう。50年やったらこれ、貰えたんだよ。ラジオ体操サボらず行くとヤクルトとノートがもらえるようなシステムだよね」 「全然違うよね……」
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