0人が本棚に入れています
本棚に追加
その後上司と社長たちは、細かい内容の話し合いがあるということで、俺だけ外で待つことになった。
綺麗な秘書さんが、意味ありげな表情で俺に微笑む。
こんな美人と目があうことなんて、一生に一度あるかないかだよな、と考えるほどにはまだ、余裕があった。
というよりも、まだ現実味がないのかもしれない。
入社してまだ2年目の、なんの功績も残していない、この平凡の中の平凡な社員を社長が認識していること自体に驚きだ。
座り心地のいい、ソファに座っていると気の疲れから眠気を感じる。
こんなところでうとうとするなんて、まじでクビになるよな。
必死に手の甲をつねり、意識を保つ。
その様子を見て、秘書の人が笑っている。
恥ずかしくなり、また俺は顔が赤らむのを感じる。
その時、ドアが開き、上司と大鞍が出て来た。
大鞍は、高いヒールを履いて、コツコツと美しいウォーキングを見せつけながら、俺には一目もくれずに通り過ぎて行く。
あんな風に話すとすごいけど、やっぱり令嬢なだけあって、品があって綺麗だなと思わず見とれてしまう。
上司が慌てて俺の名前を呼び、俺も走って後を追いかける。
この日から、俺の平凡な日常が180度ひっくり返った。
最初のコメントを投稿しよう!