突然の出会い

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突然の出会い

「んんーっ。」 目覚ましのアラームが鳴り響き、目を覚ます。 ありがたいことに二度寝ができない体質のおかげで、いつも1度のアラームで起きる。 それでも、寝ている姿勢が悪いのか、どことなく体中が硬く感じで伸びをする。 ぼんやりと夢を見たような気がしたけれど、ベッドから出て準備をしているうちに忘れてしまった。 「おはよう。」 「おはよ。」 リビングに行くと、用意された朝食がテーブルに置かれていて、いつもと同じ日常が始まる。 「和樹、行きながらゴミ出しよろしく。」 「はいはい。」 「じゃあもう行く。」 「いってらっしゃい。」 俺の父親は、家では無口な人で家族の誰よりも早く朝出発する。 ゴミ出しだって本当は世の中では父親がやるもんだと俺はいつも、母さんに文句を言ってるが、聞き入れてくれた試しがない。 いつも、お父さんは忙しいから、と俺の仕事にされる。 「俺だって毎日忙しいんだけど…」 「今日も遅くなるの?夕飯いるかどうか、連絡してちょうだいね。」 「わかったって。」 少し冷めてる味噌汁を勢いよく飲んで、席を立つ。 「ごちそうさま。じゃ、行ってきます。」 「いってらっしゃい。」 母さんから送り出されるのは、何回目だろう、とふと思った。
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