第1話 屈辱の初陣

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私は皮を剥ぐのが好きな異常者による犯行であり、無差別に犯行に及んでいると主張した。 その根拠は以前起きた『皮剥事件』の犯行が全く違っていたからだ。 確かに皮を剥ぐやり方は同じだ。 しかし、被害者の体内から大量の麻酔薬と微量だが皮膚隔離剤が検出された。 更に死体には皮膚は綺麗に剥がれ取られていた。 前回の『皮剥事件』の犯人は被害者を拷問する為に皮膚を剥がした。 皮膚にそこまでの執着をみせなかった。 犯人は被害者の苦痛を見たいが為に、顔以外の皮膚を剥がしたのだ。 だが今回はそうでは無い。 麻酔を使い、足の爪先から頭に至るまで綺麗に剥がれていたのだ。 もしかしたら、被害者に恨みなどなく、適当に選んでいるのかも…… それに被害者の細野さんは無職であり、浮浪者。 どこにでも居るが居場所もなく、頼る人もいない。 そんな孤独に苛まれる者なら、殺しても誰も悲しまない。 犯人はそう考えたのではないか。 では次に犯人が狙うとするならば浮浪者のいる公園を狙う。 しかし、浮浪者は年々増加の一途を辿り、広い公園や河川敷にはダンボールの家が目立つ。 犯人にとっては餌場には困らないだろう。 次の犠牲者を出さない為にも早急に捕まえなくてはならない。 とにかく悩んでも仕方ない。 私は棚瀬に頼んで、とりあえず池袋近辺の公園の監視強化を命じた。
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