第4話 蜘蛛の巣

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大鹿検事が帰ったあと、休憩所で棚瀬と雪城を交えて先程の聞き取りについて話し合った。 「お2人は大鹿検事はシロだと思いますか?それともクロ?」 棚瀬はまず大鹿検事の印象について聞いてきた。 「そうね。今のところグレーに近いわね」 「右に同じ。灰色だな」 珍しく意見が合った。 私は眉を上げての影原警視正の方を向いた。 だが棚瀬も雪城もグレーの理由が知りたがっていたので、私はまずはシロだという根拠を説明してあげる事にした。 「あの体格よ。別の場所で殺したとしても死体を置いて、首を晒さなければならない。素早く作業できたとしても、背が高いからすぐに目撃されてしまうわ。でも今のところ、そんな目撃情報は入ってきてない」 続いてクロだという根拠を影原警視正が説明した。 「それでも奴が不破直明を憎んでるのは事実のようだし、望月大臣に恨みを持ってるのも事実だ。この2人が本命で後はカモフラージュとして首を切り落とした可能性だってある。勿論、犯罪歴を探るのは検察官なら朝飯前だろう」 私達の説明に2人は納得していた。 それどころか、憧れの視線でこちらを見ていた。 恐らく生でコンビの息ピッタリの推理を見るのが初めてなのだろう。 Mist&Shadowの推理を……… 小っ恥ずかしいが悪い気もしなかった。
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