最終話 Mist&Shadow

2/32
前へ
/345ページ
次へ
事件は終息の道を一途に歩んだ。 主犯格の大鹿道隆、並びに冨屋淳弥。 そして高千穂真美代を逮捕した夜…… 私と影原警視正は千葉県警と協力して、高千穂の別荘にある地下室の現場検証を行った。 地下室に入った瞬間、どこかで見た風景だと違和感を感じた。 その違和感はすぐに分かった。 第2の被害者、青山正樹が殺された場所だ。 つまりここで殺人が行われたのは事実のようだ。 それを物語るように、地下室の壁一面は薄い赤色に変色しており、明らかに血を拭き取った跡が残っていた。 鑑識によると当然、それらの血液は被害者の物だと判明した。 他にも被害者の指紋がついた椅子等が発見され、 更にロッジの隣にあるガレージの中には白のワンボックスカーを発見した。 そして影原警視正が持ってきた日本刀。 案の定、刀身には最期の被害者となった有馬次席の血液が検出され、柄には大鹿の指紋も検出された。 次から次へと見つかる証拠の品に犯人達は為す術なかった。 最初から容疑を自供した高千穂真美代は別として、完全黙秘を貫いていた冨屋は犯行を素直に認め、我々の取り調べにも快く応じてくれた。 そして当初、容疑を否認し続けた大鹿も認めざるを得なかった。 こうして世の中を震撼させた『首切り役人殺人事件』はの幕を下ろした。 だが、私達にはまだやり残した仕事があった。
/345ページ

最初のコメントを投稿しよう!

197人が本棚に入れています
本棚に追加