第1話 屈辱の初陣

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時は半年前まで遡る。 車から警視庁の入口に至るまでの道のりが長い。 すぐ目と鼻の先にあるのに、それが中々辿り着く事ができない。 私に群がるマスコミのお陰で……… 「捜査一課長!今回の事件について一言お願いします!」 「今回の『皮剥事件』は昔起きた事件と関係あるんですか!?」 「池袋東警察署に捜査本部を立てたと聞きました!どうして影原署長のいる中央警察署ではないのですか!?」 ――うるさい。 マスコミの波の中を歩けば歩く程、記者達の大きな声が耳に鳴り響く。 「記者会見は1時間後、大会議室にて執り行います。質問等はそこで受け付けます!」 秘書の松島が私をガードしながら記者達に負けじと大声で叫んだ。 そして何とか入口に入り、記者達から解放された瞬間、大きく息を吐いた。 「お疲れ様です」 「捜査一課長も疲れるわね」 私は愚痴を零しつつも、捜査一課長室へ向かって歩き出した。 だが、記者達が騒ぐのも無理はなかった。 捜査一課長として初めて取り扱った事件が皮肉にもあの『皮剥事件』なのだから………
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