第1話 屈辱の初陣

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早い話、私と影原警視正を組ませたくないのだ。 上層部は密かに影原警視正の裏を探っていた。 彼が警察署を私物化している可能性が高いからだ。 問題は具体的にどのように私物化しているかだ。 今のところ、影原警視正に纏わる黒い噂はない。 寧ろ、市民にも好かれ、署員の人望も厚かった。 だが、それでも上層部は影原警視正の暴挙を止めようと人事部の柳瀬課長に裏取り調査を命じた。 その経緯から人事課長は私や影原警視正に興味を持ち、警視正と組んだ頃の話しをよくさせられた。 恐らく今回の件も課長の打診によるものだろう。 私の傍にはもう誰もいない。 池元一課長も影原警視正も……… いるのは私の指示に従う捜査員達だ。 あの人事課長…… 私一人で難事件を解決させるつもりだ。 ――いいわ。受けて立ってやる。 この5年、ただ捜査一課長の隣にいた訳ではないのよ。 それを分からせてあげる。
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