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*side紫乃*
―六年前・春―
『あ!
見て、また同じクラス!』
?「ほんとだ!
また一年よろしく、紫乃」
そう言って優しく微笑むこの人は、石川蒼太。
私の幼なじみ。
そして、大好きな人。
『うん!
高校最後の年も同じクラスとか嬉しい!』
蒼「こらこら、ここは学校ですよ?」
つい、腕に飛びついた私の頭を撫でながらも
蒼太は少し呆れ顔。
『別にいいでしょ!みんな知ってるし』
私たちは、幼なじみ...かつ恋人同士。
蒼「そういう問題じゃないでしょ
はい、離れてー」
『.....』
蒼「またそんな顔する」
文字通りべりっと腕から引き剥がされ、
不機嫌になった私を蒼太は笑いながら見てる。
『もういい』
追いかけて来てくれるのが分かってるから、
少しだけ早足で歩く。
蒼「しーの!」
...ご機嫌とりの時の呼び方。
蒼「そんなにむくれたら、せっかくの美人が台無しだよ?」
蒼太の方が断然足が長いから、すぐ追いつかれる。
蒼「ほら、美人さん♪」
手を取り、自分方に向かせると私の前髪を持ち上げにっこり笑う。
...昨日切りすぎて気にしてるのに。
『やめてよ』
蒼「機嫌直してよ」
前髪を整えながら、ね?と眉を下げる。
『...言っとくけど、美人なのは蒼太の方だからね!』
元来備わっている整った顔に、泣きぼくろというオプション付きの蒼太は...いわゆるイケメンだ。
蒼「えー?俺男だよ?」
何の威力も持たない捨て台詞を吐いて、
さっきよりも早足で歩く私の後ろで蒼太は、的外れなことを言ってる。
少々?意地っ張りな私と、
底抜けに優しくて、少し天然な蒼太。
小さい時から変わらないこの構図は恋人になっても変わらないまま、私たちは高校三年生を迎えた。
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