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遊園地のバイトリーダー
あの後未鈴がしいたけが好きでも涼太とならやっていけると言ってくれて俺と未鈴はよりを戻した。
「涼太。私のお母さんいるじゃん?」
「うん。」
「昨日実家に帰ったら昔話って言うか、お父さんとのなれそめを聞かされてさ。」
「どんな話だった?」
「あのねお母さんが遊園地でバイトリーダーをしていたときだったの...。」
─30年前─
“「あなたはメリーゴーランド担当ね。小さい子は特に気をつけて。落ちたりする子がいたりするから。あなたはジェットコースターね。最近荷物を忘れていく人が増えてきているからちゃんとチェックして。それからあなたは...」
一通り皆の担当を決めて一段落つく。
「はぁ。」
ため息が洩れる。最近大学とバイトと家の往復で、楽しいけど飽き飽きしてきた。
「恋がしたぁーい。」
「未玲ちゃんらしくない呟きだね。」
と急に私をバイトリーダーにした店長がやってきた。
「店長が私のことバイトリーダーにするからです。」
「ごめんね。俺忙しいから。」
「親から継いだこの遊園地以外にどこで何してるって言うんですか。」
と私はむくれてみせる。
「すまないね。色々とした事情でね。」
と整った顔を少し歪ませる。
店長は私の3つ上。収入は知らないけど顔は整っている。まぁ、こんなかっこいい人なんだから彼女もいるだろうし。さすがにバイト先で彼氏をつくろうとは思わない。
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