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真夜中の公園
日曜日の深夜になると私は決まって部屋を飛び出す。
白い運動靴、擦れたジャージのズボン、ヨレたシャツの上にパーカーを羽織るだけの出来るだけ身軽な格好で。
憂鬱な気持ちから逃げるように。
ここではないどこかに行きたくて、その先にある答えを見つけたくて、できるだけ真っ直ぐ、家から離れるように暗い道を先へ先へと歩く。
次第にそれは早足になって、いつのまにか駆け足になって、私は息を切らしながら走る。
「はぁ、はあ」
春の夜風が肩まで伸びた髪を揺らし、頬を掠める。
暗闇を照らす街灯が遠ざかっては、次々に私の先へと現れる。
夜空に浮かぶ満月がこちらを見下ろしながら追いかけてくる。
真っ直ぐ走れるところまで走って、私は足を止めた。
肩を上下に揺らして呼吸を整える。
気づくと、家から離れたところにある大きな公園の手前まで来ていた。
階段から覗き込む夜の公園は真っ暗でまるで別世界のようだ。
すぐ側の葉桜が風でさらさらと揺れ動き、私を公園の中へと誘っている。
私はその先に何かを求めるように階段を降りていった。
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