お弁当

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お弁当

涼音は気になっている男の子がいる。 「(しん)くん!」 慎くんこと慎斗(しんと)くんは家の近くの幼馴染みで仲の良い涼音の“気になっている”人。 「あ、涼ちゃん。」 「一緒にお弁当食べよー!」 「うん。いーよー!」 お弁当を開き、二人でお弁当を見せあう。 「あれ?今日の慎くんのお弁当、きのこがいっぱいだね!」 「おばあちゃんが取ってきていっぱい家にあるから!」 「へー!」 涼音はいっぱいあるきのこの名前を一つ一つ指差し言った。 「これは、えのきでしょ。なめこでしょ。マッシュルームでしょ。」 涼音は幼いが、知識量は豊富だった。 涼音がある1つのきのこに目がとまった。 「...これ...。しいたけ...?」 「うん。しいたけ食べてみる?」 「いいの?」 涼音はお父さんやお母さんが嫌いなため食卓にだされないしいたけを一回は食べてみたいと思っていた。 得体の知れないしいたけ....。 慎くんに勧められ食べることにした。 「慎くん。ありがとう!いただきます。」 ドキドキしながら涼音はしいたけを口にいれた。 ....っ!美味しい! これのどこが嫌いなのか涼音にはわからなかった。 「涼ちゃん。どう?」 「美味しいっ!とっても美味しいよ!」 「よかった。」 と慎くんはにっこり笑った。 「本当に本当においしいよ!ありがとう!」 「涼ちゃんが喜ぶなら全部あげるよ!」 「ううん!慎くんのだもん!慎くんが食べて!」 「そっか!分かった!」 それにしてもしいたけ美味しかったなぁ。お家のご飯にもしいたけ出せばいいのに。 「ただいま!お母さん!今日ね慎くんにしいたけもらったの!すーーっごく美味しかったよ!なんでお母さんもお父さんも嫌いなの?」 「え、涼音しいたけ食べたの...?」 「うん!」 「そっか...。」 涼音の弾んだ気持ちとは裏腹に未鈴は不安でいっぱいだった。
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