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帰宅して、急いでお風呂に入り、寝支度をする。 手触りの良いパジャマに身を包み、アロマディフューザーのスイッチを入れる。 部屋中に香りが広がり、肩の力が抜ける。 風呂場の鏡に映る顔が、まだ酔いを感じさせて嫌悪感でいっぱいになった。 枕元で携帯を充電しようと手に取ると、またメッセージが来ていた。 『春菜さんは、普段どんな事をしているんですか?』 『どんな事…趣味とか、ですか?』 『聞き方が悪かったですね(笑)すみません。そう、好きなことが知りたいなと思って。』 『そんなに面白い趣味はないですけど…音楽を聴いたり、映画を観たり…そんん感じです。』 『なるほど。僕もその二つは好きですね。思い切りインドアなので。』 『そうなんですね。私も人混みとか、苦手で…一人で完結しちゃう趣味が楽なので好きなんですよね。』 『そうか…。一人で楽しい趣味を、二人で楽しんでみようと思いませんか?』 『え?』 『(笑) 一応誘ってるつもりです。』 『あ、すみません…。慣れていなくて。』 『今日会ったばかりで、まだ怖いと思うんですけど、良かったら時間がある時、一緒に映画を観ませんか?』 『ありがとうございます。』 なんて返したら良いのか、わからずに曖昧な返事を送る。 『じゃあ、また連絡します。ちなみにいつが暇とかありますか?』 『栗原さんに予定は合わせられると思います。』 『わかりました。じゃあ、今日はありがとうございます。おやすみなさい。』 あまりの急展開と眠気とに押されて、気を失うように眠りについた。 目覚ましをかけずに起きた時、昨夜のことを思い出して、携帯をもう一度確認する。 確かにメッセージは残っていて、現実なのだと感じる。
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