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(2)時間だけはわかる
時間。
時間だけはわかる。人工脳が動いているからだ。
全センサーが停止してから1時間経った。
俺は椅子に座っているはずだが、その感覚がないので実際にそうなのかは分からない。
12時間経った。
身体が攻撃を受けた様子はない。神経が反応していないからだ。
24時間経った。
声が聞こえた。脳に直接入ってくるような声だ。
『ジョナサン・ジャリ、いるか? いたら返事をしてくれ』
俺のことを呼んでいる。油断なく言葉を確認する。
『ジャリ、こちらは味方のエスパーだ。今、通信にはテレパシーしか使えない状態だ。返事は心に念じてくれ』
どうやら確かに味方のようだ。
『ジャリだ。そちらの所属と名前をいってくれ』
『俺は国防総省直属の第3エスパー部隊第1小隊のギザ・エルテスだ。IDナンバーを送る』
俺の人工脳は数字を受信できた。
脳内で照合する。間違いない。
『ジャリだ。照合した。なぜ人工脳にテレパシーを送れるんだ?』
『送れるものは仕方ない。そういう能力だよ。軍事機密だがな。口外しないように』
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