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(6)周りに見えたもの
「次は目ね。ゆっくりいくわね」
もう彼女が医者だろうということはわかっていた。
では私は?いや俺は?
頭が混乱してきた。
「包帯とガーゼを取るわ。私がいうまで目を開けてはダメよ」
ガーゼ?包帯?
アンドロイドに?
人工皮膚が異常をきたしたのだろうか?
そうして、目を覆っていた包帯とガーゼと思われるものが取られた。
「ゆっくりと目を開けなさい」どこまでも優しい声だ。
俺はゆっくりと目を開けた。
「さぁ、鏡をご覧なさい」
女性医師は鏡を目の前に差し出してくれた。
「はい」
そこには可愛い人間らしき女性が映っていた。
可愛い? そんなことが俺にわかるのか?
右手で頬をさすると鏡の中の女もそうした。
左手で頬をさすると鏡の中の女もそうした。
「これは、お……私なのですか?」
「そうよ」
見回すと部屋の中には技術者らしい男女が4人、医者らしい男女も4人と、明らかにギザらしい男が一人いた。
ただしギザはヒト族ではなさそうだ。
私が女であることは次第に理解できてきた。
女性型アンドロイドだったのか?
ではなぜさっきまで男性型だったのだろうか?
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