6人が本棚に入れています
本棚に追加
(7)自我の混乱
時間……時間がわからない。
私は戸惑って、医者と思われる女性の顔を見た。
「どうしたの?」彼女は優しく訪ねてくれたが、私はのどがカラカラで声が出てこなかった。
ギザが生の声で言った。
「時間がわからないようです」
「あぁそうなのね。ギザ、あまりテレパシーは使わないでね」
「わかりました」
ギザはよく見ると犬族のように思われた。耳が長く垂れている。
「私は誰なのですか?」
思わず疑問が口をついて出た。
「貴女は人間の女で、ジュリエット・スウィートというのよ」
私はしだいに思い出してきた。
そして叫んだ。
「あぁーっ!!!」
左右から腕を掴まれた。暴れないように押さえつけられたのだ。でもその感触があるのでホッとした。急に疲れが出た。
最初のコメントを投稿しよう!