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(9)取り戻された天才
「ではあなた方は……」
「貴女を取り返して、自我と記憶、意識も無意識も元の貴女の脳に戻したのよ」
「大変だったわね。気の毒に思うわ。ま、私たちも大変だったけど」
「私は完全に元に戻ったのですか?」
「そう私たちは捉えているわ。全ての検査結果と、AIによる人格シミュレータが示しているわ。でも、1ヶ月は入院が必要ね」
「”彼ら”というのは何者なんですか?」
「超大国の情報組織とだけ言っとくわ」
こちらも超大国だ。
「なぜ私はそんな目に遭わされたのでしょう?」
「貴女が天才だからよ」
薄々は感じていた。だがどんな能力があるのか……まぁピアノではないし、超能力でもないだろう。
「貴女は素数を見つけられるのよ。数億桁だろうが数京桁だろうが、数時間で見つけられるの」
「つまり……」
「貴女は暗号の神様なのよ」
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