夜伽

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夜伽

皇帝陛下が、忙しいらしく対面のないまま夕餉が済み、辺りが暗くなってくると皇帝が渡ってくるとの先触れが訪れた。 アナスタシアは、リリーたちによって風呂に入れられ、磨き上げられて夜伽用という薄布でできた夜着に着替えさせられる。 身体のラインが思い切り出てしまう服に抵抗したが、裸のままと究極の選択をさせられて夜着を仕方なく選んだ。 「それでは私たちはこれで失礼いたします。明日朝には参りますので。陛下が満足され、枕元に花を置いて行かれれば側妃となります。」 リリーたちが下がってしまうとベッドの上に1人残されてしまう。いつ来るのかわからない皇帝を待ち、色々と考えているうちにアナスタシアは、意識を手放していた。 その夜、随分遅い時間になってから部屋に入ってきた皇帝は、ベッドの上で丸くなって眠ってしまったアナスタシアを見て、苦笑いをすると抱き上げて、ちゃんと寝かせると布団を掛けて枕元に花を一輪置いて去って行ったが、それを見ている者は誰もいなかった。
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